五島列島は、九州の最西端に位置する「国境離島」です。福江島、久賀島、奈留島、若松島、中通島など、大小約150の島々からなり、行政区は五島市、新上五島町、小値賀町、佐世保市の4つに分かれています。
毎年列島全体で1000人ほどのペースで人口減少が進みながらも、一方で人気移住先ランキングで上位入りし、20代、30代のUIターン移住が近年増加。2019年度には五島市で統計開始後初めての「社会増」を記録するなど、新しい価値観に基づいた地域のコミュニティが生まれています。
様々な地域課題を抱えつつも若い世代の価値観を惹きつけ始めている五島と、「お金はあってそこそこ幸せだけど、満たされない」とライフスタイルに行き詰まりを感じている都市部。
豊かな自然と、潜伏キリシタンをめぐる過酷な歴史(2018年にはその関連遺産が世界遺産に登録)が交差する五島という土地に身を置き、ゆったりとした時間を過ごすことで、「人生でいちばん大切にしたいこと」が見えてきます。そんな旅をするために、島外から五島を訪れる人が増えれば、五島に住む人の心も、都市に住む人の心も元気になっていくはず。「みつめる旅」は、以上のような内面からの地方創生、ひいては日本全体の社会課題解決をめざし、東京と五島を行き来しながら日々活動しています。
“五島はきわめて「異化」が起こりやすい旅先でした。
五島は東京とは全然違うシステムで動いていることを、いろんな場面で実感しました。たとえば、「ありがとうございます」とお礼を伝える場面が多いこと。居酒屋でお酒を飲んだあと、近所の方に宿まで送っていただいて「ありがとう」。夜、地元の方に天の川を見に連れていっていただいて「ありがとう」。海の幸でBBQの支度をしていただいて「ありがとう」。
旅が持つ「異化」の作用は、これからの時代、ビジネスにおいても非常に重要になってきます。
日本の経済界ではここ何年も「イノベーションが大事だ、イノベーションを起こさなくては」という声を聞きます。でも、イノベーションは、自分が現行のシステムに埋没しているうちは生まれない。イノベーションは、「今、みんなが当たり前だと思っていることが、おかしくない?」と気づくことこそ起点になりますから。その「おかしくない?」と感じることが、まさに「異化」であるわけです。
そんなふうに考えると、ビジネスパーソンも、自分が日々埋没してしまっているシステムを客体化する機会として、時々休暇をとっては五島のような旅先に出かけた方がいいかもしれませんね"